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farmar's talk NEO

キュウリ農家 "夢男"の考える農業のあれこれ…   →農業以外の話題は "pop" http://ftalkpop.hateblo.jp/ へ

先生の前では「学生になる」のだ

今日、学生時代の恩師のお宅に嫁さんと一緒にお邪魔してきた。うどんこ病が専門の先生だから、以下、うどんこ先生と呼ばせていただく。

少し前に先生宛に近々うかがう旨のメールを出して、今日の訪問となったのだ。うどんこ先生は大学を定年された後、ご実家にUターンで戻られたのだ。引っ越しされたのは昨年の春なのだが、私自身、子どもの進学のことや例のごとく怒濤のキュウリシーズンに突入してしまったため、挨拶を兼ねた今頃の訪問となってしまった。

前の日に準備しておいた手土産を持ち、朝、自宅を出発。初めての土地でもあるし、途中二箇所ほど道の駅の売店に引っかかりつつ、リンゴを買ったり、原木しいたけを買ったり、ググってよさげなカフェを発掘したりと一年ぶりの再会(嫁さんは結婚式以来、二十年ぶり)の前座を楽しむ。

ちょっと早めの時間にうどんこ先生の集落に入るY字路に着いた。どかジャンを来たオジサンが立っていた。うどんこ先生だ!時間を伝えていたから、入り口がわかるように待っていたらしい。

「先生、お久しぶりです!待っていたのですかっ?」
「いや、夢男君のことだから早く来るのではないかと思って出てみたよ」
「先生はお見通しなんですね。うふふ」と嫁。俺を馬鹿にしてんのか(笑)

うどんこ先生の玄関に入ると奥様が出迎えてくれた。三十年前に会った奥様は髪が短くなっただけで声も変わらず何だか若々しい。学生時代に団地にお邪魔して夕食をごちそうになったときの優しくて素敵なうどんこ奥さんだった。当時、三人のお子さんの父であり母である幸せなうどんこ家族を目の当たりにして、これからの僕の人生にはこういう家庭をもてるのか、それは現実に起こるのか妄想のままなのか、まだ青すぎる僕には全く想像もつかなかった。

茶の間のこたつに四人で座り、美味しいお茶をいただいた。座ってすぐさま話し始めるうどんこ先生。先生の近況、大学時代の思い出、ぼくたちのキュウリのことなど、話題には事欠かなかった。ふと思った。ホントに何十年ぶりか。端から見れば、何十年もの時が経った再会だとは、言われなければわからないほど自然さで会話は弾んだ。

昨年の二月に研究室出身者で先生の退職祝賀会を開こうという案内があった。その時は限られた時間でうどんこ先生と話さなくてはならず、単純に計算すると持ち時間は五分も無かった。まあ、その時は、直接長年お疲れさまでしたと言えただけで満足だったのだ。

そして今回、心置きなく、うどんこ先生と話せたことはとてもうれしかった。唯一、誤算だったのは、僕たちの仕事であるキュウリの栽培について嫁さんが話し出したら、うどんこご夫妻は、

「夢男君の奥さん、すごいなあ!」

と言い出したことである。農学を学んでいないのに農業についてよくわかっている、というのだ。しまいにはこう言いだした。

「学校で習ってる学問の農学はダメなのだ。農業のこうした体験や意見が研究者には必要なのだ(意訳)」

う〜ん、先生、かつては僕を褒めてくれたじゃないですかっ!これじゃ、また、俺の位置が下がるじゃないですかっ!と思いつつも、結婚して二十年、農業に不慣れだったのにいろいろキュウリ論を言えるようになった嫁をうどんこ先生が褒めてくれたことは、まるで自分が褒められているようでまたもやうれしくなった。

あっという間に三時間以上過ぎた。まだまだ話は尽きないが帰らなくてはならない。再会を約束して、手を振るご夫妻を後に帰途についた。でも何だか、まだ話したりない。

「どうする?さっき調べたカフェに行ってみよう!」

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お洒落なカフェでミルフィーユとコーヒーを頼んで、さっきまでのうどんこ先生ご夫妻との会話を反芻する。ああ言ったことはどう思う?あれはどういう意味だろ?

そして僕たちはあることを確認した。家族はとても大事だ、ということだ。うどんこご夫妻が家族のことを大切に思っていることが、話していて僕たち夫婦にもずっしり伝わってとてもうれしくなった。学生の時にお邪魔した幸せ家族は今も続き、そのために努力しているのだ!

人の幸せは家族の幸せがすべてなのだ。今回のうどんこ先生との再会は、ぼくら学生にそう教えてくれたように思えた。