farmar's talk NEO

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「もみど」のこと

うちには「もみど」と呼ぶ古い木造の倉庫がある。昨日、一昨日の季節外れの大雪で、その「もみど」の屋根に七〇センチもの雪が積もってしまった。これまでの雪と違い、さすがに春に向かう今頃の雪は粉雪からすぐに重く固くなってしまう。「もみど」は古い建物であるゆえ、屋根の雪には気を付けている。そして今日、今年何回目かの「もみど」の屋根の雪下ろしをしたのだ。

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二連のアルミ梯子で屋根に上がって、東の道路側、雪止めをつけている方の屋根の雪をスコップで下に投げ落とす。小さい屋根だから、大体、一時間かからないで終わる。他の小屋にも雪下ろしには上がるのだけれども、この「もみど」の雪下ろしが好きだ。面積がちょうどいいのと、雪を下ろさないと壊れてしまう感が大なのが、雪下ろしをして世話をしたくなる大きな理由だ。

「もみど」籾倉。籾所。母屋から少し離れたところに置く、穀物を貯蔵するための小さな倉。

(『置賜のことば百科』より)

「もみど」は夏は涼しく、米の変質が少ないので、家で一年間食べるお米を保存するのに使っている。現代の農家に普通に建ってる小屋は、鉄筋とコンクリート、トタン作りで夏は暑く、お米の品質を保つには定温庫が必須。しかし、昔の智恵というのか、この古い作りの高床式の小屋がなかなかの優れものなのだ。なので、古くなったから建て直そうという話が出ると、その後にかかる余計なコスト(定温庫の購入とか、電気代とかもろもろ)を考えてしまい、「昔の便利」の素晴らしさを感じ、その度、話は流れてしまう。そんなこともあって定期的に屋根にペンキを塗り、痛んだところを補修し、屋根の雪を気にしつつ、今でも大事に使っているのだ。

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聞くところによると、うちの「もみど」は一昨年九三歳で亡くなった祖母が嫁に来る前からあったらしい。推定するに明治中期から〜大正初期か。母屋がまだ茅葺きだった昭和三〇年頃、早くもこの「もみど」はトタン屋根になったとのこと。痛みが激しかったせいもあるが、収穫したお米を入れる大事な建物ゆえ、雨漏り対策として早くに最新設備を導入というわけだ。きっと、次の年の作付けのための種籾も保存していたのだろうなあ。

「もみど」の細部を見るといろいろと面白い。うちで唯一の鉄格子を備えた窓だし、なんて呼ぶのかわからないが「からくり錠」とでもいうのだか、摩訶不思議な感じの入り口のロックシステムが備え付けられている(今度、名称などの詳細を調べて写真をアップしたいと思う)。屋根裏には均一に粘土質の土が敷き詰められている。これはきっと、夏場に屋根の熱を内部に伝えさせないための断熱材代わりなんだと思う。

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「もみど」の屋根に上がって雪下ろしをしているとそんなようなうちの歴史を感じつつ、ずっと昔から同じような作業を人手でやっていたのだなあ、と不変の業と思えるのだ。今の道具や建物にはとまた違う「人の息」がとても感じられるのだ。